材料の重さの出し方|mm³のまま計算すると100万倍ずれる

公開 2026/9/11 ・ 材料・工具 ・ およそ4分で読めます

材料費を出すには、まず重さが要ります。材料はキロいくらで買うものだからです。

重さを出す式は2行で終わります。それでも答えが合わないことがあるのは、式ではなく単位のほうです。

式は2行

重さ = 体積 × 比重

丸棒の体積  = π × (D ÷ 2)² × L
板の体積    = 幅 × 厚み × 長さ

丸棒は「断面積 × 長さ」です。 円の面積が πr² なので、直径から出すなら半分にしてから2乗します。

ここで直径のまま2乗すると、体積が4倍になります。 φ50 を 50 のまま入れると、φ100 の丸棒を計算したことになります。

★ つまずくのは、たいてい単位

図面の寸法は mm です。比重は「1cm³ が何グラムか」の数字です。 単位が揃っていません。

φ50 × 長さ100mm の丸棒(S45C、比重 7.85)でやってみます。

体積 = 3.14159 × 25² × 100 = 196,350 mm³

この 196,350 に、いきなり 7.85 を掛けてはいけません。

196,350 × 7.85 = 1,541,344

この数字は、グラムでもキログラムでもありません。 正しくは 1.54kg です。

正しい順番はこうです。

1  体積     196,350 mm³ ÷ 1,000  = 196.35 cm³
2  重さ     196.35 × 7.85        = 1,541 g
3  単位     1,541 ÷ 1,000        = 1.54 kg

まとめて1本の式にすると、こうなります。

重さ(kg) = 体積(mm³) × 比重 ÷ 1,000,000

「1,000,000 で割る」を覚えておくと早いです。 図面の寸法をそのまま使えます。

板でも同じです。100 × 50 × 厚み10mm の S45C なら、

50,000 mm³ × 7.85 ÷ 1,000,000 = 0.39 kg

⚠ 「比重」と「密度」は、厳密には別のもの

表に載っている 7.85 という数字は、どちらの意味でも使われています。

比重  水を1としたときの比。⚠ 単位を持たない
密度  1cm³ あたりの質量。単位は g/cm³

水の密度が約 1 g/cm³ なので、数字としては同じになります。 そのため実務では区別せずに使われますが、厳密には比重に単位はありません。

g/cm³ で書かれた表と、単位なしで書かれた表は、同じ数字を指しています。 迷う必要はありません。

比重の一覧

この表の値は、材料重量計算に入っているものと同じです。

材質比重
SS400(一般構造用圧延鋼)7.85
S45C(機械構造用炭素鋼)7.85
SCM435 / SCM440(クロモリ鋼)7.85
SUS3037.93
SUS3047.93
SUS3167.98
SUS4307.70
A11002.71
A2017(ジュラルミン)2.79
A50522.68
A60612.70
A7075(超々ジュラルミン)2.80
C1100(タフピッチ銅)8.89
C2600(黄銅1種)8.43
C3604(快削黄銅)8.50
純チタン2種(TB340)4.51
Ti-6Al-4V(64チタン)4.43

この表には、2つの公開資料で値が一致したものだけを載せています。 一致しなかった材質(鋳鉄・工具鋼など)は、ここには入れていません。

比重を1つ間違えると、材料費が丸ごとずれます。確かめきれない数字を並べるくらいなら、載せないほうが安全だという判断です。 一覧に無い材質は、手元の材料屋の資料かミルシートで確かめてください。

規格票からは取っていません。 JISの内容を転載するには著作権者の許諾が要ります(日本産業標準調査会)。規格番号と表題を書くのは許諾なしでできるので、材質の規格を知りたいときはそちらを辿ってください。

材料記号の読み方

★ 同じ形でも、材質でこれだけ変わる

φ50 × 100mm の丸棒を、材質だけ変えて計算します。

材質比重重さ
A50522.680.53 kg
Ti-6Al-4V4.430.87 kg
S45C7.851.54 kg
SUS3047.931.56 kg
C36048.501.67 kg

一番軽い A5052 と、一番重い C3604 で 1.14kg 違います。3倍以上です。 同じ図面、同じ寸法で、材質欄が変わっただけです。

ただし「軽い=安い」ではありません。

材料費 = 重量 × キロ単価

アルミは比重が鋼の約3分の1ですが、キロ単価は鋼より高いのが普通です。 重さが3分の1でも、単価が3倍なら材料費は変わりません。⚠ どちらが安いかは、両方を掛けてみるまで分かりません。

⚠ 重さが出ても、まだ材料費ではありません

計算したのは「図面どおりの形」の重さです。 実際に買う材料は、それより大きいものです。

切代      削り落とすぶん
つかみ代   チャックでつかむぶん
定尺      買えるのは決まった長さ。⚠ 端材が出る

ここを足さずに見積もると、材料費が足りません。 詳しくは別の記事にまとめています。

材料費の出し方|切代・つかみ代・端材をどう扱うか

まとめ

重さ(kg) = 体積(mm³) × 比重 ÷ 1,000,000

丸棒  π × (D ÷ 2)² × L     ⚠ 直径のまま2乗すると4倍になる
板    幅 × 厚み × 長さ

⚠ 1,000,000 で割る。mm³→cm³ と g→kg で2回
⚠ 比重と密度は、数字としては同じ
⚠ 同じ形でも材質で3倍以上。ただし軽い=安い ではない
⚠ 重さが出ても材料費ではない。切代・つかみ代・定尺が乗る

小次郎 切削工具・測定工具の販売(卸売)と、 NC旋盤・マシニングセンタでの加工。両方の実務経験があります。 運営者情報